「計算ミスを考える(3)「計算ミスを分解してみる」

今回は、計算ミスについて具体的にどんな種類があるのか、細かく分けてみようと思います。

例として、整数の足し算、引き算、掛け算、割り算を取り上げて見ます。

整数の足し算の計算ミスの原因を分類すると上記のようなところでしょうか。

繰り上がりのミス、あたりがケースとしては目立ちますが、

筆算せずに暗算でミスをする、桁の大きな計算での0の取り扱いなども目にすることが多いですが、

一番多いのは、最後に上げている、「字の汚さでの自滅」ですかね。。

次に引き算を見て見ましょう。

引き算については、足し算同様に繰り下がり、が大きなポイントで、それ以外の計算ミスの原因は、足し算と同じです。繰り下がりについては、急いでやれば小学生高学年から中学生でもどうしても出てしまうところではあります。

ここでやはりポイントなのは、足し算と引き算では、繰り上がりと繰り下がり以外は、計算ミスのポイントはかわらない、ということです。

さらにかけ算を見て見ましょう。

掛け算については、何と言ってもベースにあるのは九九の計算です。ここのミスが10回に1回あると、掛け算の筆算はだいたい2問に1問しか正解できなくなるぐらい、使用頻度は非常に高いです。

また、以外と多いのは、筆算の時の足し算のミス、「1上がる」ところの処理の仕方、でのミスは多いです。

そして掛け算では、0の扱いは足し算引き算以上にミスが多いですね。

続いて割り算についても見ます。

整数の割り算は、筆算についてイメージをしてもらいたいのですが、割り算と言っても実際しているのは、「九九の計算」と「引き算の筆算」です。それに加えて、筆算の時の書き方によるミスなどがありますが、「割り算」のミス、というのは分解すれば存在しないことがわかります。

ですから、割り算と言っても、ミスで多いのは、掛け算の問題であり、引き算であり、商の立て方というところも、中身は掛け算です。強いて言えば割り算限定なのは、筆算の時の商の立て位置、あまりの扱いかた、というところでしょうか。

「うちの子は割り算が苦手で・・」というのは話としては多いのですが、

では、割り算の「どの工程に苦しんでいるのか」といいうの見ると、

実は、割り算ではなくて、掛け算の練習不足、ということが非常に多いです。

そして、ここまでみてわかるのは、全部の計算に共通するのが、

字の汚さによる自滅

です。

もしも、この現象が見られるならば、まずはここを一番に潰して行くべき、であることはおわかりいただけると思います。

ここまで見て言えるのは、計算ミスと言っても、

ここに上げたものの、「全部が当てはまる」という人はいないはずですし、見たことがありません。

それどころか、「うちの子供は計算ミスが多くて。。」というご相談を受けるお子様の、そのほとんどが、これらに上げたミスの傾向のうち、多くても2つ、だいたいが1つしか、頻出するミスの傾向はない、という子がほとんどです。

そうなると、その1つの原因、を潰して行けば、確実に計算ミスは減って行きます。

大事なことは、「計算ミスが多い」のではなく、では、その計算ミスは「どんな原因で起こっているのか」を明確に分析して行くことです。そこがわかれば、それを解決するための手立ては、割と簡単に見つかります。しかし、それを見つけずに、闇雲にたくさん計算練習をさせると、ミスの原因を解決していないのですから、なかなか計算ミスが減って行きません。

ということで、ポイントを挙げると、

・計算ミス、と一括りにすると見えてこない。その計算ミスは「何が原因なのか」をしっかり分解してあげよう

・分解すると、頻出する計算ミスの傾向は、1つか2つ、ということがほとんどです。そこで気持ちがぐっと楽になります。4つも5つも、という子はいません!

というところです。

次からは、これらの計算ミスの傾向に対しての、具体的な対策を見て行きたいと思います。