計算ミスを考える(5)「単位換算と文章の読み間違いについて」

今回は、計算ミス一族の親戚と言っていいテーマをいくつか見ていきたいと思います。

その1つ目が、「単位換算」です。

1km=1000m、1KL=1000L

というようなところですが、ここが中学生くらいでもあやふやな子がとても多いです。

単位換算については、本質的には、

「キロ=千倍」とか「ミリ=1000分の1」とか、単位記号には決まりがあって

それをきちんと認識すれば、丸暗記、ということにはならないのですが、

どういうわけか、単位を習う小学生の段階ではこの単位記号については触れられません。

そのため、多くの小学生が、

「1km=1000m、1m=100cm、1cm=10mm」

というように対比関係を丸覚えしないといけません。

これをもとに、3.5kmは何cmか、という問題に当たるわけですが、

3.5km×1000m×100cm

という計算をしていきます。

ここでポイントになるのが、単位の対比関係をしっかりと把握した上で、

・単位換算には「0」の扱いが多くなる

・小数、分数の計算が必要になる

ということになります。

また、時間だけは60進法になっていますので、0.3時間=30分、ということにならないので、

時間の単位換算については大いに注意が必要です。

さらに、面積のha、aについては覚えにくいです。。ただこの面積系の単位はさほど重要ではないかもしれません。(ここがテスト範囲でなければ)

ただ、立体の方は、㎥、L 、㎤の関係は確実に覚える必要があります。

次に気をつけたいのが、同じく計算ミスの親戚一族の「文章の取違い族」です。

1つ目は、「解答の仕方の間違い」です。

「かかった時間は、何分ですか?」

と聞かれているのに、計算過程を時間で計算していて、答えを「時間」で答えてしまう。

あるいは、

「太郎くんと次郎くんはどちらがいくら多く持っていますか?」

と聞かれているのに、計算で次郎が200円多いのを計算していて、

「200円」

とだけ答えたり、というような、

せっかく理解も計算もできていたのに、最後に答え方で間違う、という、

なんともなんとも、がっかりな間違いです。

このテーマについては、根本的には不注意であって、なぜ不注意な状態になるのか、ということについて、メンタル的なテーマを見ていく必要があるのですが、場当たり対処的には、

・文章の「解答の仕方」部分に必ず線を引くこと

・できれば、問題文章を音読をすること

の2つが有効でしょう。

そして、同族のミスとして、非常に多く見るのが「文章の読み違い」です。

例えば、こういう感じです。

「ある学校の5年生に、運動クラブ、文化クラブに入っているかを聞いたとところ、運動部に入ってる人は全体の5/8で、そのうち1/5にあたる15人がサッカー部でした。文化部に入っている人は何人ですか?」

という問題があったとして、これに対して、

「そのうち、1/5」とあるのに、15人が全体の1/5と思い、15人を5倍して、75人」としてしまうことをしばしば見ます。

これは、運動部に入っているのが全体の5/8であることを見落としています。

また、文化部に入っている人、を問われているのに、全体の人数を出してしまっている、というケースも多いです。

こういう以前に、そもそも、数字を見間違う、単位を見落とす、ということも多く見られるミスです。

このような文章の読み間違い、見落とし系は、先ほどの解答の仕方の間違い族と同様に、キャラクターや性格、あるいはその問題に挑むときの集中力、などに根本的には起因することが多く、実は非常に根深い問題です。

また、こういうミスが多いと、「うちの子は文章理解が・・・」という話にもなりがちなのですが、ここは一歩立ち止まって、「そもそも言っていることがわからない」のか「読み落とし、読み違い」なのかは原因をしっかり見定める必要があります。原因が読み間違い系であるのに、「読解力が不足している」というように勘違いをすると、対策としては、全くあさってのことをすることになってしまいます。

この手のミスの対応としては、対処療法的には、

「人物、場所、数字、条件について確実にマーキングする」

ということになるでしょう。

計測をしたことはないのですが、感覚的には、

このようなマーキングをしている人と、そう出ない人では、読み落としなどのミスの出現率には大きな差があるのは確実だろうと思っております。

この辺りのミスへの対処は、他の科目でも同様のことが言えるかと思います。

次回は、では、計算ミスが減っている、計算力があがっていることを「判定」する、成果が出ている、ことを見極めるための方法を考えたいと思います。